前回の投稿で実用的な英語力を身に付けるために最低限知っておかなければならないことを7項目挙げましたが、分かり難いと思うので補足説明しておきます。
⓪は、特に英語を話すときに意識する必要があることです。英語が苦手な人は英単語を適当に並べて話してしまいがちですが、英単語の無秩序な羅列は英文ではありません。英文であることを意識して読んだり聞いたり書いたり話したりしなければ、英文にはなりません。
①と②は関連しています。これらは、特に英語を読んだり聞いたりときに意識する必要があることです。一般的な英文の動詞は主語 + 動詞のセットで存在しているので、実質的には主語 + 動詞のセットの表現を捉えることになります。例えば「I love.」を「私は 愛する。」と捉えます。
そんなこと当たり前だと思うかもしれませんが「I love you.」ならどうでしょうか。つい「私は あなたを 愛する。」と捉えてしまうのではないでしょうか。そうではなく「私は 愛する あなたを。」と捉えなければなりません。
③は、英文の使用実態を考えてみれば明白な事実です。クイーンの「We will rock you」という歌のサビは「We will we will rock you」ですが、これを「主語 + 助動詞 / 主語 + 助動詞 + 動詞 + 目的語」と捉えると意味不明です。最初の主語 + 助動詞部分を訳すことができません。「主語 + 動詞 / 主語 + 動詞 / 動詞 + 目的語」と捉えると「俺達は そうなる / 俺達は そうなる / 震わせる お前を」と訳せます。フレディーマーキュリーはそのような感じで歌っていたはずです。
なお、例文全体の動詞は「will」です。最後の「rock you(動詞 + 目的語)」は、句のまとまりとして一つの目的語として使われています。詳しく説明すると長くなるので、現在無料で公開している本を読んでいただければと思います。
アメリカのオバマ元大統領も「Yes, we can.(そう、私達は できる。)」と言っていました。助動詞は机の上で英文の構造の辻褄を合わせるために便利な概念ですが、実態を正確に表していない間違った概念です。英語圏の人達は、助動詞とされている語を助動詞と認識してはいません。動詞と認識しています。
④の制約は絶対です。主語が単語ではなく句や節の場合、主語→動詞の存在を明確に示すため、取りあえず「It」などの代名詞が使われることも多いです。それほどまでに絶対的な制約なのです。
⑤と⑥も関連しています。一般的な主語→動詞の英文あるいは日本文を考えれば、主語が動詞を支配する役割であることは納得できることだと思います。
それでは、命令文や疑問文において動詞を支配している主語は何なのでしょうか。実際の命令文や疑問文を想像すれば、すぐに答が分かります。
あなたが「しなさい!」とか「するのかな?」といった命令文や疑問文を発言する場合、その「しなさい!」とか「するのかな?」といった表現を支配しているのは、あなたであるはずです。
あるいは誰かから「しなさい!」とか「するのかな?」と言われたら、その「しなさい!」とか「するのかな?」といった表現を支配しているのは、命令文や疑問文を発言している誰かであると認識するはずです。
主語が存在しない動詞から始まる英文の場合、動詞の表現は命令や疑問のニュアンスの表現になります。そして、その英文の動詞を支配している主語は文を発信している人なのです。
学校の英語学習では、命令文や疑問文の動詞の直後にある語が主語と教わりますが、英文の使用実態を考えると、それはあり得ません。命令文や疑問文の動詞の直後にある語は目的語や補語です。英語圏の人達は「Do it!(しなさい それを!)」や「Do you?(するのかな あなたに関しては?)」のような感じで命令文や疑問文を使っているのです。